コラム Column

コロナの対応 その21 「その8 雇用調整助成金」

政府は6月19日から下記の対応を全国に対応してくれました。
  • 「都道府県をまたぐ移動の自粛緩和」

緊急事態宣言の解除から3週間余りが経過し、新たな感染は一部の自治体にとどまっているとの判断からです。

週末の街には、活気が戻ってきました。緊急事態宣言が解除されても客足は鈍っている状況が続いていました。緊急事態宣言が解除されてもコロナに関わる先行き不安から客足は鈍っている状況が続いていました。

「都道府県をまたぐ移動の自粛緩和」のステージに入れば、客足が戻ってくると期待していました。土曜日は天気が良かったこともあり、久しぶりに客足が戻り、売上が良かったようです。

私も、週末は、久しぶりに自分の身の回りのことを対応することが出来ました。最初にしたのは、下記の対応です。

  • 「特別定額給付金10万円の申請」

「特別定額給付金10万円の申請」は取り掛かってしまえば、ものの数分の申請です。しかし、その数分の時間を捻出できない状態が続いていました。年度末業務の対応。同一労働同一賃金の対応。そして、コロナの対応。誰もが、多かれ少なかれ、病気にでもならない限り自分のことは、一番、後回しだと思います。

10年ぐらい前のリーマンショックのとき。12,000円の定額給付金を申請しないでいたら、区役所から下記の問い合わせの電話がありました。

  • 「早く申請をして下さい!」

定額給付金については役所の方も「予算消化の達成率」があったそうです。リーマンショックのときは下記の対応に追われていました。

  • 大規模なリストラ・プロジェクト
    雇用調整助成金の申請

今回のコロナ危機では、弊社のクライアントでは、まだ、大規模なリストラはありません。ある意味、今の時点ではリーマンショックのときよりも、今回のコロナ危機の方が、ましなのかもしれません。

コロナも怖いですが、経済が停滞するのも怖いです。

  • 「生きるということは、金を稼ぐということ」

そんな当たり前のことをコロナの対応にあたりながら、日々、その意味を深めたりしています。定額給付金の申請をしながら、下記のことを想像していました。

  • 戦中・戦後の配給制度について

モノがなく政府によって、イロイロなことが統制され管理されていた時代。戦中・戦後の配給制度も
本質的には今回の給付金の対応と同じだったのではないかと思っています。

当時の対応は知りませんが、迅速かつ正確には対応を政府やGHQがしていたとは、到底思えません。若しかしたら、今の時代と同じように民間に委託して中抜きのようなこともあったのかもしれません。

戦中・戦後の配給制度の状況下で管理はどのようにしていたのか。それとも、あまり、管理はしていなかったのか。定額給付金の申請書を対応しながら、戦中・戦後の配給制度の対応を考えたりしていました。

定額給付金の申請では、振込口座を記載するだけでなく、振込口座の写しを申請書に貼り付けるようになっています。一方で、雇用調整助成金の申請では、振込口座の写しの添付が求められていません。

小生は、申請に必要にはなっていませんが、振込口座の写しも添付して申請しました。何度も確認はしていますが、それでも、万が一のトラブルを防ぐためです。

人が対応する以上、記入間違えや入金間違えは起こり得るからです。昨今の電子申請の状況では人ではなくオンラインでも膨大なエラーが出ている状況です。雇用調整助成金というのは、全く信頼がおけない助成金です。

  • 一番大切な振込口座の情報に関して
    振込口座の写しを求めていないからです。

そもそも、支給する前提であるならば、振込口座の写しは添付させていると思うのです。申請が簡単な助成金や給付金には振込口座の写しを添付させています。

雇用調整助成金は10年前のときも振込口座の写しの添付を求めていなかった記憶があります。ちなみに、弊社の対応外ですが持続化給付金の申請でも振込口座の写しは申請添付資料で必須書類になっています。

雇用調整助成金はイロイロな経緯が複雑にあり厚生労働省が振込口座の添付案内を忘れたのかもしれません。

しかし、元々の雇用調整助成金の前提が支給するつもりがない助成金だからそもそも振込口座の写しを求める必要がないような気がしてくるのです。出すことを前提にしているのであれば、振込口座の写しは添付させるはずです。

その他にも、申請の方で審査や確認をするうえで、添付書類があった方が良い書類があるのです。今回、手続きの緩和対応により省略された書類もあります。しかし、間違えると大変なことになるのであえて添付をした資料もあります。

ちなみに、助成金の王道の対応では不必要に書類は添付すべきではありません。証明に証明が求められる展開に陥るからです。

更に、ダウンロードをした雇用調整金の申請書ファイルが綺麗にA4に納まるようにレイアウト設定されていないのです。縮小でレイアウト設定されているため、印刷すると虫眼鏡で見ないと分からないような文字サイズになるのです。

労災の申請書などは、役所の規格サイズで印刷しないと受理して頂けない手続きもあります。役所の方がスキャンして保存しておくため、A4規格でないと受理してくれないのです。

今回、雇用調整助成金ではA4で申請書をつくったうえでA3でも拡大して申請書を作成しました。労働局の担当官に確認したら、下記のような回答です。

  • 「当然、申請企業はA4で申請書を作成してくるので
     実際に審査の方でもルーペで確認しながら対応をしています。」

A4とA3で申請書を作成して申請にきたのは、まだ、私だけだというのです。労働局の担当官から
下記のことを聞かれました。

  • 「先生は、もう、長いのでしょうか?」
    「雇用調整助成金は何度も
     対応しているのでしょうか?」

この助成金を何度も対応して生業にしているような人は世の中にいないと思います。

36協定の改定でも同様でしたが、綺麗にレイアウト配置が設定されていない雛形をダウンロードファイルにあげているのです。日本全国でレイアウトの設定だけでも手間な作業に陥っているのです。

厚生労働省の方は申請書などの作成を外注業者を使っているようです。恐らく、現場の作業確認のことなどは考慮していないのでしょう。

給付金の申請代行で詐欺や申請代行のトラブルも多くなっています。弊社の方にも、雇用調整助成金の申請について新規の問い合わせが増えています。一番多いのが、下記の業者からの問い合わせです。

  • 自分が元請業者や紹介業者となり
    下請けで実際に申請をする社労士をみつけて
    紹介ビジネスや中抜きビジネスの類の業者。

雇用調整助成金の相場は給付額の2割程度です。新規の業者だと3割程度の費用がかります。しかも、手付金を払ったら、実際は対応しないでタイムアウトになることが多いのです。

申請期間を迫ってきたり、時間が無くなると外注業者に依頼する展開になります。年度更新と算定基礎届の時期になりました。「都道府県をまたぐ移動の自粛緩和」がされて、本業の方も忙しくなってきたはずです。

組織や人が動けば、トラブルは起きて当然です。人事労務の対応というのは、社内のことであり、自分たちのことです。

  • どの企業も、多かれ少なかれ、自社の対応は、一番、後回しになりやすいのです。

資金繰りに逼迫した状態であれば優先順位は常に最上位になりますが、資金繰りに余裕がある場合、助成金申請というのは、後回しとなり、得てして、温めやすいのです。

思っている以上に時間がかかるのも人事労務系の仕事の特徴です。外注業者は耳障りの良いことしか言いません。経営者も困ってくると耳障りの良いことを試してみたくなる衝動が起きてきます。

騙されないように要注意して頂くとともに、何が起きるか分かりません。今回の特例で申請期間は下記のようになっています。

  • 1月27日~5月31日までの分は
    申請については8月31日まで

  • 6月1日以降については2カ月以内です。

時間は捻出するのは難しいものです。さすがに、小生も、夏場の時期は長期の休みを取得します。雇用調整助成金を検討している企業は、早く、申請準備に取り掛かって下さい。

作成日:2020年6月21日 屋根裏の労務士

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