『安全と安心』・・・前編
つい先日まで、政治家の方々はオリンピックの開催を巡り下記の発言をオウム返しのように繰り返し言っていました。
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『安全と安心』のオリンピックの開催実施
「国民の命と健康を守る」
「国民の命と健康を守る」と言っていたのに、コロナの感染者を自宅療養の対応に方針を転換させました。一方、パラリンピックの開催に関しては『安全と安心』のオリンピックの開催実施を今でもオウム返しのように同じことを言い続けて、粛々と、開催に向かっています。
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『安全と安心』のスローガン
小池さんが『安全と安心』を言い出したのは今回の五輪の対応だけではありません。日本人は忘れやすいので、覚えていない人も多いと思います。
小池さんは都知事に就任したときも築地から豊洲への移転を巡り、『安全と安心』をロジックにして前任者の対応を終始否定。現場を混乱させ続けてきました。隠居していた石原慎太郎氏を証人喚問で国会にまで呼び出しているのです。
豊洲の移転のときは、『安全と安心』に関して、下記のように言っていたのです。
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『安全と安心は違う!』
豊洲への移転を巡り、盛り土問題に端を発し安全性だけではなく、土地購入の取引経緯などなど。豊洲移転における行政の様々な問題が次々と噴出。そもそも何が問題になっていたのかも国民はよく分からない状態だったと思います。
豊洲移転の問題を拗らせて棚上げしていてIOCからも指摘をされるような事態になり、ある意味、オリンピックという外圧によって、築地から豊洲への移転となったのです。
小池さんは、豊洲の問題でも、大衆に恐怖を煽って、大衆を煽ってメディアを味方につけて引っ掻き回して、拗らせてあとは放ったらかしの印象です。
地下水モニタリングの再調査で、環境基準の最大100倍のベンゼンが検出されたと言われれば、怖くもなります。そもそも論ですが、豊洲でも築地でも魚市場で利用する水で地下水は使ったりしていません。利用するのは、水道水です。
コンクリート建造物の地下が汚染されていても基本的には関係がないはずです。豊洲市場は、建築基準法でも土壌汚染対策法などの各種法律基準でも法的には安全という専門家の判断でした。科学的に検証したエビデンスもしっかりとありました。
実は、弊社のクライアントでも地盤工学のパイオニア的なクライアントを、数社、対応させて頂いております。お時間があるときに、一度、小池さんの『安全と安心は違う!』という判断に関して、環境専門の技術者の方に、ご意見をお伺いしたいと思っておりました。(当たり前ですが、打ち合わせでは労務のことです。)
素人の私のような者でも、豊洲市場の魚が、安全であることは分かります。私も、建築と不動産は前職の本業でもあり、全くのド素人というわけではありません。魚市場で使う水は、地下水ではなく、水道水なのですから、当たり前すぎで議論にもなりません。
安倍さんがオリンピックの招致のときに汚染水問題に関して下記のスピーチをしました。
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「汚染水による影響は、
福島第一原発の港湾内の
0.3平方キロメールの範囲内で
完全にブロックされている。」
原発の汚染水をブロックできるのに、豊洲の地下水をブロックできないはずがありません。原発が稼働して、新幹線が走り、飛行機が飛んで、宇宙開発までしている時代。
豊洲の地下だけは、『安全と安心は違う!』と非科学的なことを言って、騒いでいたのが小池百合子さんです。
豊洲の移転では科学的に問題がないのに、『安全と安心は違う!』と言って頑なに移転見送りの姿勢でした。一方、コロナ渦の五輪開催に関しては、『安全と安心』を連呼しているだけで五輪の開催を強行で取り進めています。
コロナ渦の五輪は、安全ではありません。ましてや、安心のはずがありません。どちらの対応も、科学的には判断せずにぶれずに自分の意見を押し通している姿勢は一貫しているとは思います。
もっとも、ぶれていないというよりも、自分の過ちを認めないタイプです。『安全と安心』のスローガンを一貫性も無く、都合よく使い分けるご都合主義です。
それでも、私は小池さんには感謝をしております。ノーネクタイや上着を着用せずにカジュアルウエアの導入をしてくれたのは小池さんのお陰だからです。
「クールビズ」は小池さんが自民党で環境大臣のときに、旗振りで対応していた政策です。真夏に男性が上着を着てネクタイを締めなくても許される様になったのは小池さんのお陰です。
自民党が野党になって政権を失ったときは池袋でドブ板の活動をしていました。何度か握手をして頂いたことがあります。「クールビズ」の感謝の気持ちも伝えました。
4年前の都議選の頃、東京都は築地市場の豊洲移転問題でマスコミは騒ぎ、出口が見えずに大きく揺れていました。都議選の告示3日前。今度は、小池都知事は唐突に、下記のスローガンを掲げました。
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『築地は守る、豊洲は活かす』
築地か豊洲かで拗れに拗れて出口が見えない状況に陥っていた中で一定の解決の出口を示す形で、選挙で大勝。しかし、現在、築地市場は跡形も残っていません。
『築地は守る』というのは、どこかに消えてなくなってしまいました。もはや、国民もマスコミも、あまり関心がないような気がしています。
今週からパラリンピックが開催されてしまいます。児童や生徒に観戦機会を提供する意義など言っていないで、小池先生には、感染爆発している東京の実態を直視して、二の矢、三の矢の具体的な対策を講じて頂きたいです。現場で協力しますから、感染防止の具体的な対策をお願いします。
作成日:2021年8月23日 屋根裏の労務士