コラム Column

「何歳まで働けますか?」・・・前編

今年の年始にサラリーマンのときの最後の上司の部長とお電話で話をしました。振り返ると、最後に部長とお逢いしたのはかれこれ、5年前になります。

オリンピックのある年を目安に4年に1回ぐらいのペースで、お逢いすることを考えていました。昨年、お逢いしたいと考えておりましたが、仕事も忙殺状態の中でコロナ渦となり、当然にお逢いすることは出来ません。

部長は69歳になります。(もう、部長ではありませんが・・・)たまに、部長のことを思い出しておりました。夜空を見ながら、下記のことを考えておりました。

  • 「部長は、まだ、現役で頑張っているのでしょうか?」
    「もう、現役は退いてご隠居されているのでしょうか?」

会社は60歳で定年退職となり、その後は65歳までの再雇用制度が原則です。しかし、部長職までなっている人については基本的には無条件で67歳まで再雇用してくれるのです。更に、「やる気がある」のであれば、67歳以降でも働く場があるのです。「やる気がある」という条件は下記のようになっているそうです。

  • 「週5日でフルタイムでの勤務」

週に3日や短時間勤務というのは基本的には認めていないそうです。最近は、当たり前ですが、ご時世にあわせて多様な働き方を認めているようにもなってきているようです。しかし、法定を上回る65歳以降の雇用に関しては、「やる気がある」という内容に「週5日でフルタイムでの勤務」を基本にしているようです。

「やる気がある」ベースには、特別扱いしないというのが基本的な方針にあるのだと思います。厳しい社風の会社です。基本的には結果で判断される会社です。ある意味では平等な会社です。経済界では妖怪人事と揶揄されるような高齢の取締役たちがいる組織です。

ダイバーシティの理念により多様な働き方が求められております。私が在籍していた会社もだいぶ変わったようです。現在は別の制度があるはずです。当たり前ですが、今のご時世では有給なども半ば強制的に取得させているようです。

部長は2年前に67歳になっています。会社制度としては、2年前に雇用期間の上限年齢に達しています。仮に67歳以降も「やる気がある」という条件で、更に68歳まで再雇用していたとしも既に昨年の2月に68歳は迎えております。

昨年の2月であれば、コロナウイルスの脅威が日本に拡がってきたときです。年始の時点で、もうじき、69歳になる年齢では、既に退職している可能性が高いと思っておりました。

部長が完全に退職したという話。聞いておりませんでした。久しぶりに、部長にお電話をしたら、下記の返信がありました。

  • 「ご無沙汰。
     勤務時間中なので、
     お昼の時間に折り返し
     電話をします。」

メールを頂いて、まだ、頑張っていることが分かりました。本社勤務のお昼の時間帯でしたので、長電話はしておりません。もうすぐ69歳を迎える部長。お電話を頂いたときに挨拶のように、下記のことを尋ねました。

  • 「お変わりなくお元気でしょうか?」
    「部長は69歳を迎えて、退職するのですか?」

部長は69歳になっても70歳になっても、まだ、頑張ると言っていました。つまり、週5のフルタイムで勤務するということです。お電話でしたが、部長は元気そうでした。頭の方も全く衰えていないように感じました。私は下記のことをお尋ねしました。

  • 「後期高齢者の75歳まで現役で頑張るのでしょうか?」
    「それとも、生涯現役で頑張るのでしょうか?」

部長は、「それはない」と即答しました。「70歳までは絶対にやるし、それ以降も頑張る」と強い口調で自信をもって言っていました。すべてのクライアントの日常的な労務相談の対応のベースには下記のことが私の無意識にはあります。

  • 退職前後の高齢期での労務対応

  • 新入社員の若年期での労務対応

「退職前後の出口」と「入社時期の入口」の対応です。入口と出口というのは、遠く離れていて
関係がないような気もしますが、実は、密接に関係しています。出口がない入口というのはありません。出口があるから途中での厳しい道程を人は生き抜いていけるのです。

  • スタートした場所がゴールとなって
    戻ってくる場所で設定されていること

人生を含めて、結構、多いと思います。「人を育てるための必要な労務の対応」と「高齢期での活躍を見出す労務の対応」です。

出口の労務の中で中核となるのが定年対応の設定です。最終的な出口の労務が再雇用後の最終的な雇用期間の満了年齢です。下記のことは、度々、労務の議題にあがります。

  • 「一体、人は何歳までフルタイムで働くことが出来るのか?」

フルタイムでの就業可能年齢です。生涯現役というのは、仕事の内容や立場によりだいぶ事情は変わってくるのが当然です。高齢期における健康状態も個人によって、だいぶ変わってきます。

ダイバーシティーの考えの下、個人ごとで事情が違うと言ってしまえばそれまでです。しかし、全員に適用させる制度をつくる側の立場であれば、運用していく中で、基準年齢を頭に入れて自分なりに消化して理解しておく必要があります。

実は、小生は、これまで、男性については67歳説というのがベースにありました。小生が所属していた妖怪役員たちが自分たちの経験を踏まえて、設定していた年齢が67歳だからです。

  • 67歳のことは、67歳にならないと
    分からないと思っております。

どんなに情報が高度化しても諸先輩たちの生きた知恵を理解するのは経験しかないと思っております。

久しぶりに、69歳になる部長と短い時間ではありましたが、直接、お電話で話をして、私の基準年齢も覆りました。覆ったというよりも分かったという感覚です。次回のコラムで、フルタイムの就業可能年齢の持論をお伝え致します。

作成日:2021年9月27日 屋根裏の労務士

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