コラム Column

「何歳まで働けますか?」・・・後編

サントリーの新浪剛社長が「45歳定年制」を提唱したことで波紋が拡がっています。かねてより、新浪さんは日本の解雇規制に関して緩和すべきという考えをもっており、今回の「45歳定年制」の提唱は特段、大きな問題発言ではないと思います。

経済同友会のオンラインセミナーで、「個人は会社に頼らない仕組みが必要」と問題提起をしたと報じられていましたが、新浪さんの意図したニュアンスで伝わらなかったのだと思います。

ネットでは、下記のような炎上意見が相次いでいる騒ぎです。

  • 「単なるリストラではないか」
    「45歳で普通の人は転職できない」

これを受けて、政府の方も加藤さんが、下記のコメントをする事態になりました。

  • 「法律(高年齢者雇用安定法)には、
     60歳未満の定年禁止が明確に書かれている」

そもそも論ですが、サントリーホールディングスは新浪社長が就任する前に世の中に先んじて、「65歳定年制」を導入した企業です。サントリーは、10年ぐらい前に「ダイバーシティ経営」を打ち出して多様な価値観の創造企業として「65歳定年制」を目玉にしていた企業なのです。

トップが変われば、方針も変わるということだと理解しておりました。

高年齢者雇用安定法は大変複雑な継ぎ接ぎだらけの法律です。定年は年金制度への入り口です。世代間格差のあるデリケートな問題ですので、複雑にしておく必要があるのだと思います。

高年齢者雇用安定法の9条違反の解釈も様々な解釈がネットで溢れている状態です。法律の管轄が労働基準監督署ではなく職業安定所になっているのも法に、強制力と迫力が欠ける要因です。

法で退職年齢を定めているのに、それに違反をした場合、様々な学説があるようですが、私は下記のように解釈しています。

  • 会社の定めた60歳を下回る定年年齢は無効。

無効になるということは、法に定める基準年齢まで引き上げられるだけではなく、その企業に定年退職年齢が無くなるという法的な効果が出てくると考えています。つまり、無期の労働契約になってしまうということです。無期の契約を止める装置というのが定年という制度なのです。

安定法は複雑なので、細かく取り上げません。今回は、前回の続きでフルタイムでの就業可能年齢について取り上げます。

私は、これまで、男性については67歳説というのがベースにありました。私が所属していた会社の役員たちが部長職まで就任した人に関しては無条件で67歳までの雇用をする制度を作って運用していたからです。

私のサラリーマン時代の上司だった部長は69歳になりましたが、まだ、元気に頑張っていました。部長は仕事が好きだし、仕事を辞めたら、やることがありません。仕事が出来るタイプの人間なので、私も部長は就業可能年齢まで働いていた方が良いと思っています。

  • 「一体、人は何歳まで
     フルタイムで働くことが出来るのか?」

ずばり、私のフルタイムでの就業可能年齢は下記の年齢です。

  • 73歳

73歳定年制というのは、どこかで聞いたことがある年齢だと思います。総裁選の公開討論でも議題にもあがっていました。73歳定年制は、自民党の定年年齢です。正確には自民党の衆議院の比例の定年年齢です。

私は12年ぐらい前までは、比例ではなく自民党の定年年齢だと思って間違って理解をしていました。その理由は、私の郷里出身の大物政治家が73歳の定年を理由に出されて政界を引退したからです。その大物政治家の先生は下記です。

  • 中曽根康弘

当時、特例で、中曽根さんと宮沢さんが比例で出馬をしていました。中曽根さんは比例の1番でした。しかし、当時首相になった小泉純一郎さんから自民党の定年制を理由に出されて定年退職を勧告されて、引退することになってしまったのです。

20年以上前でしょうか。当時、定年制があるわけだから、引退は仕方がないと思っていた記憶があります。その後、何となく自民党には定年があり、その定年年齢は73歳だと思っていたのです。

当時の政権は、今よりも高齢化になっておらず中曽根さんと宮沢さんが最長老の状態でした。その後、私の弟分が自民党の大物政治家の秘書になり東京に来ることになります。

東京に来たので、兄弟分の友達の兄を呼んで3人で飲みの場を設けたのです。弟分とは2歳のときからの付き合いです。私は、弟分が秘書になったときも先生はご高齢だったので、下記のことを聞きました。

  • 「先生も73歳に近いはずなので、
     先生が定年になったらどうするの?」

下記のように言われました。

  • 「それ、比例の話っすよ!」
    「小選挙区で勝つから大丈夫です!」

私は、ものすごく頼もしくなったなと思っていました。また、その時まで自民党の定年年齢に関して無知であったのです。

  • 「大丈夫だとは思うけど、落選したらどうするの?」

弟分の即答が何とも印象的でした。

  • 「その時はその時、考えます。」
    「何かやって、生きていきますよ。」

あいかわらず、マイペースで心臓強いなと思っていました。自分も弟分も、親が偉大で立派な人だった。一方で、子供の頃。複雑怪奇な人間関係の中で、出来が悪かった。俺が抜きん出て、出来が悪かった。

周囲の目というのは、いつも嫌だった。いつも、居心地が悪かった。それでも、いつも明るく、前向きだった。出来が悪いから、親の世話になりたくないし、親の世話になれないので、自分で見出すしかないという状況も多いと思います。

  • 俺の周りは、心臓が強く、破天荒なタイプが多いです。

衆議院選挙も近づいてきました。議員の定年年齢も棚上げになってきました。現行ではそもそも定年は比例の話で、小選挙区で勝てば、何ら問題はありません。

73歳どころか、80歳を超える先生も増えてきました。気力があれば、73歳を超えても大丈夫だと思います。実際に、80歳になっても、留守番仕事ではなく、営業の一線で活躍しているクライアントの方もいます。

個人差はありますが、生涯現役もあり得ると思います。

作成日:2021年10月4日 屋根裏の労務士

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