「挑戦者!」
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井上尚弥 vs ポール・バトラー
世界バンタム級4団体王座統一戦です。モンスター井上尚弥の圧倒的な完全勝利。コロナ渦でマスクを着けて、暗黙の行動制限がある窮屈なご時世の中で、スポーツ界では日本人の大活躍です。
スポーツ界では東京五輪の汚職問題とは対照的に若き侍達が大活躍です。ワールドカップのドイツ、スペインの撃破。大谷翔平の投打二刀流の大活躍。井上尚弥の4団体の世界統一。
井上尚弥は、大谷翔平と同様に国民栄誉賞の候補に相応しい活躍です。政府から打診されても、大谷同様に辞退をするのでしょうが、国民栄誉賞に値する快挙のはずです。
1回から距離を取ろうとするバトラーに対し、井上尚弥がその間合いを潰して、主導権を握ります。ガードの上から、「斬れるパンチ」の連打。事故でも起きない限り、早々に、勝負ありの展開にさせます。
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あっという間に、尚弥のペースです。
当然のように自分のペースにさせてしまうところが、絶対的な自信をもっている尚弥の凄さです。その日の夜には、地上波に出て来て、インタビューに応えるファン対応。井上尚弥のインタビューでのコメントは、どこを切り取っても、勉強・参考になります。
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「勝負強さはどうやったら身に付くか?」
という質問に対して。
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「ボクシングで勝負強さを発揮するには、
自分に自信をつけるトレーニングをした時」
「自信をつける」という人生の問いに対して、「抜け道は無い」というコメントだと思います。
ガードを固めて、徹底的に防御するバトラーに対して。井上尚弥が6回にノーガードで笑みを浮かべてパンチを誘います。それでも、挑発に乗らないバトラーに対して。8回には両手を後ろに組んでのノーガード。
殴り合いの要求と同義の「挑発ポーズ」。それでもバトラーは挑発に乗らず。消化不良の沈黙の展開が続きます。バトラーは、カウンター狙いの「攻撃的な防御」ではなく。戦闘不能の『カメ状態』で『白旗』をあげている状態でした。
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「攻撃的な防御」と『カメ状態』では似て非なる状況です。
地上波に生出演をして、8回の両手を後ろに組んで顔面をさらけ出した「挑発ポーズ」について意図を説明しました。
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「リスク覚悟ではあったんですけど、
それでも打ってこいと。
ボクシングにならないよと。」
上記のコメントについて、「さすが!」と感心していました。「さすが、プロ!」、「さすが、尚弥!」と感動をして聞いていました。
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ボクシングの大前提は「興行」だということです。
みんなカネを払って、時間を割いて、観に来ているのです。自分だけの勝負ごとであれば、勝ち負けのあるアマのスポーツ精神です。自分のために戦うのはアマチェア。お客様のために戦うのがプロです。
井上の挑発行為には、賛否両論があります。アマであれば、『スポーツ精神の勝負論』もありますが、プロは「ファンあっての興行」だということです。
「殴り合いの勝負」を観に来ているのであって、勝負せずに『逃げ回る判定勝負』を観に来ているのでありません。判定になっても、井上に負けはありません。そのうえでの8回のノーガードの挑発。11回のラッシュのKOです。
世界バンタム級4団体王座統一をした偉業の日に、Sバンタム級に階級を上げることを明言。来年について、下記のようにコメント。
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「2023年は挑戦の年」
一つは、Sバンタム級への挑戦。もう一つは、その階級のチャンピオンへの挑戦。
「いつでも挑戦者」という井上尚弥のモチベーション。挑戦者であるわけですから、大谷やイチローと同様に、今の段階では国民栄誉賞を受賞するはずもないでしょう。
国民栄誉賞は、尚弥の引退した後。機を見てということになりそうですが、個人的には、3人には、どこかのタイミングで受賞して頂きたい気持ちがあります。
国民栄誉賞は内閣の人気取りの一面があり、権威が落ちている傾向にあります。推薦するのはその時の政権ですが、国民からの感謝の気持ちもあると思います。
真剣勝負の世界からは学びや気づきは多いです。他方、ビジネスでは、勝ち負けの勝負に拘るのではなく「平行線のドロー」に持ち込むのも戦略としてあります。
ボクシングや戦争をしているわけではありません。小生は、無駄な戦いはしません。派手に勝つのではなく、静かに勝ちます。興行ではないのですから当然の大人の判断です。
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「達成者ではなく挑戦者というメンタル」
そんな尚弥の目標達成のメンタルは、あらゆる分野に通じる姿勢であることは間違えありません。
作成日:2022年12月19日 屋根裏の労務士